がんと鎮痛剤

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父を肺がんで亡くして5年近くが経つ。肩が痛いと言って検査をしてもらったら肺がんの末期だったので、程なく、緩和ケアーに移った。抗がん剤などは全て拒否したので、入院をしていても鎮痛剤ぐらいしかやる事がない。ある時担当の先生に、「今使っている鎮痛剤がよく効いていて痛みを訴えませんが、レベル的にはどれぐらいですか?」と聞いたら、「10段階で1です。今後痛みに関して何とでもなりますから全くご心配は入りません。」と説明を受けた。がんの患者さんを診ていると、痛みに耐えていることが悪いことをしていると思っていない方がいる。痛みに耐えるということは交感神経優位になるので胃腸が動かない。仕事をしているときは交感神経優位で、食欲が出ないことは経験していると思う。仕事が終わりホットすると副交感優位になり、美味しいものでも食べたいとなる。だから痛みに耐え続けると消化管が働かない。少し年配の方だと痛みを訴えることが罪悪のように感じている方もいる。痛みに耐えてこそ、日本男児的な考えが根強い。特に消化器のがんの場合は、本来食べ物の通過が悪いのに、痛みに耐えているだけで益々食事が喉を通らない。こういう場合は家族の方が担当医にお願いをして、痛みのコントロールをしてもらうといい。家族との食事も残された時間の中でのことなので、1回でも多く、楽しく、リラックスしながら、食事をした方がいい。そういうがんの方達を診ていると、体調の良い悪いでこんなに食べられる量が違うのかと思ってしまう。気骨のある方が最後まで痛みに耐え抜くという気持ちは分からないでもないが、家族もその分耐えているので、痛みに関しては我慢弱い方がいい。

2016年10月6日 | カテゴリー : 症例 | 投稿者 : 東洋鍼灸院 田中