ビギナーズラックと地獄

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常連さんの息子が骨接ぎの免許を取り、勤めだしたという。身体に少し興味が出てきて、私の身体を揉んでくれるという。この間は腰の痛い人を少し治療したら、楽になったと言われて喜んでいるという。何ともいい話したが、私から見るビギナーズラックの後が問題だという話をした。

「私は鍼の免許を取ったのだが初めは何でも治る。自分は天才ではないかと思ってしまう。これはおそらく治療家は皆感じていると思う。そしてある期間が過ぎると、全く治せなくなってしまう。今まであんなに簡単に治せたのが嘘のようである。もがいても全く治せない。我々にとって治せないというのは地獄を味わっているのと同じである。その期間が人によって違うが3年の人、5年の人、8年の人が出る。そのもがいて地獄を味わった後はその苦労した年数に応じて成功していく。この仕事、3年経つと大体の病気を一巡する。6年やると1回目には全く分からなかった病気を2回目には何とか治せる。だから当院の修行は6年と言いたいが少しおまけして5年と言っている。当院の卒業生を見ていて、5年以上修行した先生は問題なく開業している。それが8年となるとほぼ3巡する。これだけ長い間地獄を見ると、大きく飛躍することは間違いない。役者なども同じだと思うが、その地獄を見ている時代に何を考え、何を学びが大切。そこで太い幹を作っておけば大きな花が咲く。本音は8年修行しなさいと言いたいが、まあ、最低でも5年は地獄を味わって欲しい。息子さんが落ち込んだときにはそんな話をして欲しい。」

こんな話をしたら、驚いていた。

2017年5月24日 | カテゴリー : 症例 | 投稿者 : 東洋鍼灸院 田中