一発で治す治療と刻むやり方

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まぶたがピクピク動く眼瞼痙攣の患者がボトックス注射を受けた。このボトックスとは神経毒で神経の異常な興奮を鎮めることにより痙攣を治す。以前から何人も患者さんを専門の先生に送ったが、概して成績はいい。しかし今回治療を受けた患者さんは、治療後まぶたが閉じなくなってしまったという。これは多少あることで、仕方がない部分はあるのだが、殆ど数週間から数ヶ月で自然回復する。我々はある程度そういう知識を持っているが、患者さんにしてみるとそういう説明はされたかも知れないがビックリしてしまうのではないだろうか。今までピクピクしていたまぶたが痙攣は治まったものの、目が開いたままでは困る。心配した嫁が相談に来て、これは薬の量を間違えたのではないだろうかと言う。現場にいないので何とも言い様はないが、患者の体質に合わなかったか、少し量が多かった可能性はある。その嫁にはこういう話をした。「もしかしてその先生若くなかった?私達もそうだが若い頃は一発で治療したくて、どうしても限界の量で刺激をしてしまう。うまく行けばいいのだが、やり過ぎとなって何度も失敗をしている。そういう経験を積むと一発で治療をするのではなく、刻んで治療することを考える。若い頃は年配の先生方の治療を見て、まどろっこしいと思っていたが、今から思うと失敗を出来ない立場にいたことがわかる。私などもこれだけご紹介で治療をしていると、一人失敗しただけでその噂が何十人にも拡がる。感覚としては1万回に1度もミスできないという感覚を持っている。それを実現するためには刻むしかない。」こんな話をしたら納得されていた。

2017年10月3日 | カテゴリー : 症例 | 投稿者 : 東洋鍼灸院 田中