亡くなる親を見て過食

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半年ぶりに来た方が5kg太って、ぎっくり腰で来た。身体を診るとお腹は出て、胃炎を起こし、足が硬くなっていた。これでは腰はもたない。どうして太ったのか聞いたら、「義理の母が段々食べられなくなり痩せていくのを見て、自分はもっと食べなければと思った。」と言う。気持ちは分からないでもないが、人が亡くなるときは家族の意志と本人、病院の対応がばらばらである。本来人が亡くなるときは食と水を絶ち、枯れるように亡くなると脳から麻薬が出てまどろみの中であちらの世界に行ける。呼吸も少し荒く酸欠になるぐらいがいい。しかし臨終近い方を病院に送ると、本来病院でやることはないのだが、やれ酸素、点滴、電気ショックにステロイドと忙しい。家族にしたら病院で何もしなければ、「先生、点滴ぐらいは・・。」と言うのではないだろうか。栄養と水を絶つと楽になるのに、そこそこのカロリーと水を入れたら、心臓や胃、腎臓は辛くて仕方がない。昔のお年寄りは枯れるがごとく体重も35kgで眠って逝ったものだが今は違う。葬儀屋さんが、「最近のご遺体は腐らないし重い。」と言う。私ならそういう姿を見て、「亡くなる前に食が細くなってまどろむのではなく、普段からまどろむぐらいに食は気をつけよう。」と思ってしまう。美味しい物を食べるなと言っているのではない、量が大事だと言っているのである。どうしても、「過食=美食」「粗食=不味い物」というイメージがあるが、50才も過ぎたら腹八分でいい。

2018年12月9日 | カテゴリー : 症例 | 投稿者 : 東洋鍼灸院 田中