患者をその気にさせる

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病院勤務時代におばあちゃんがおできで悩み、外科の先生に相談したら、「それは手術、手術しかない。」の一点張りで、患者が是非お願いしたいと言わなかったのでそのままになっていた。ある時若い医者が外部から来たときに、そのおばあちゃんが愚痴を言った。「先生、このおでき、外科の先生は私の顔を見ると手術手術と切る話ばかりする。あまり言われると気がのらなくて・・・。」「そうですか、少し拝見します。これは結構皮膚の表面から近いところにあるのでほんの少し開けるだけですぐに取れます。入院もせず、そのまま帰れますし、痛むこともありません。そのままでもいいですが、取っておくと後々楽です。お時間のあるときにやられたらどうですか?」と言ったら、おばあちゃんが、「え、少し開けるだけ、それでいいんですか?じゃ先生やって下さい。」ということになり、若い先生が担当された。手術自体は簡単なので40分ぐらいで終わったが、その後外科の先生は気分は良くない。我々から見ると患者さんには同じ事を言っているのだが、受け取り方がまるで違う。このことを経験してから、患者さんをその気にさせるのも我々の仕事だと思った。患者さんの受け取り方はわからないが、言葉一つでも患者さんは別の印象をもつものである。

2019年6月5日 | カテゴリー : 症例 | 投稿者 : 東洋鍼灸院 田中