鬱病と思想

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男性の鬱病患者で何とか現状を打開しようといろいろな本を読み、ある特定の思想にはまる方が時々いる。「今の日本はダメで、○○主義、思想を目指すべきだ。」「自分がこういう状態になったのは○○体制のせいである。時代の被害者である。」思想自体をどうこう言うつもりはないが、その方の現状を見ていると、親に世話になっていたり、奥さんが働いていたりととても自立しているとは思えない。「今の政治を変えなければならない。」と大きな事をいうのは結構だが、もう少し足元を見て欲しいと思ってしまう。本当に実力があって、政治家になったり、NPOでも立ち上げられれば鬱病は治ったも同然である。思想的、考え方は傾倒しながら、それだけしか考えないのはどうかと思う。そういう考えも持ちながら生活をちゃんとするというのが本筋だと思うが、思想だけで生きてしまうと危険だと感じる。何度かそういう患者が来て、「あなたの言いたいことはわかりました、でもはっきり言いますが、本音で今の現状を変えたくないという気持ちがある限り、病気の治癒は難しいと思いますよ。バイトでもいいから何でも額に汗水垂らして働けば夜はぐっすり眠れるし、ご飯は美味しいし、生活は安定するし、いいこと尽くめですよ。」何度かこういう話をしてその後患者は来なくなったが、現状を変えたくないという甘い気持ちにはいつも手を焼いている。

2019年3月4日 | カテゴリー : 症例 | 投稿者 : 東洋鍼灸院 田中