「無理はしなくていい」ということ

どんな症状の患者さんにも、職業的に「無理はしなくていい。」と言ってしまう。しかし本音の部分では、「出来ることまでサボるということではない。」「多少の無理はして欲しい。」「サボり癖がつくと困る。」と思っている。例えば骨折の患者に、「痛みがあるうちは無理はしなくてもいい。」とは言うが、あまり安静を続けて筋肉が廃用性萎縮(はいようせいいしゅく-使わないことにより、筋肉が衰えること)を起こしては何もならない。痛みがあるうちは安静でいいが、少し楽になれば筋力回復のため、筋トレはして欲しい。以前病院勤務時代に病棟の患者が一日中寝ていて、足が痛いとよく整形の先生に訴えていた。先生もやりようがないから、話もろくに聞かず看護師に「湿布を出しておいて。」と言っていた。ぎっくり腰も初期は安静は大事だが、比べてみると動かせる範囲で動いていた方が治癒は早い。これは足に限らず内臓でも脳でも同じである。昔、「生かさず殺さず」と言う言葉があったが、リハビリにはピッタリの言葉である。色々な方を見ていて安静にしすぎて出る症状は、中々治療では良くならない。少し筋トレをして痛くなった足は治療は楽である。どうしても言葉遊びになってしまうので、少し数字で言うと、出来る無理は110-120%と思えば良い。150-200%やれば壊れるだろうが、1-2割りなら壊れない。この辺のさじ加減が難しい。

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