せんねん灸と膝痛

30年ぐらい前の話だが、骨接ぎに勤務していたときに膝痛で70台のご婦人が通っていた。ある日急に膝が痛くなって、たまたまその日は骨接ぎが休みだったので、自宅にあったせんねん灸をやったらとても効いたと言う。もっと楽になりたくてどんどんやったら、終わったと何は38ヶ所やってしまったという。翌日、骨接ぎに来てビックリ。膝の周辺がくまなく水ぶくれを起こしている。「何でこんなにやったの?」と聞いたら、「初めのが効いたから、もっとやれば楽になると思って、どんどんやったら、こんなに水ぶくれになってしまった。こんなになるとは思わなかった。」昔のせんねん灸はよく水ぶくれを起こしていた。今は改良されてそういうことはなくなったが、何度か水ぶくれの患者を診てきた。そういう方を診るたびに、悩まず考えず聞いて欲しいと思ってしまう。こちらは色々な経験を踏まえて今その症状に1番良いことを指導しているのだが、患者さんは治りたい一心で止めどなく刺激してしまう。今日も腰痛でせんねん灸を一つやったら効いて、その後10ヶ所やったらやり過ぎで悪化してしまったという方が来た。治療はさじ加減が難しい。考えずに聞いて欲しい。

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