不妊治療をしている方達を診て思うこと

私自身、不妊治療をやっているわけではないので、患者さんから一部話を聞くだけだが色々と感じる部分は多い。体外受精にしても顕微受精にしても1回、30-50万はかかる。場合によっては1000万円を超えることもあるという。平均治療期間は約2年間、お金も時間もかかる。一昔前は1回の体外受精で30万円、6-7回やると200万円、この200万円で一つの壁がある。それだけやって出来ない場合は、「確率は10%ですからもう少し頑張りましょう。」と言われるという。10回やっても出来ない時は、「ある方は13回目で出来た。」と言われるという。時間が過ぎれば過ぎたで、「あの方は42才初産。」と言われるという。親戚や姑からも、「あなたの妹さんは2人目生まれたのよね。」と言われてしまう。何とも精神的に追い込まれる。ホルモン剤の長期服用で太ってしまうケースは多く、そういう方は中々痩せないのも現実問題である。人によってはお世継ぎがどうしても必要で、何が何でも男の子を産まなくてはならないという。話を聞けば聞くほど、こちらまで暗くなる。これは仲のいい産婦人科の医者から聞いた話だが、「昔は子供が出来ないと全て女性のせいだった。本当に可哀想な話。離婚させられた方もいた。実際は1/3が女性の問題、1/3が男性の問題、1/3が原因不明。それが事実。」と言っていた。昔より男性の不妊に関して認知度が上がり、男性不妊専門病院が今はある。この不妊の問題、悩めば悩むほど泥沼に入るので、何処かで線引きが必要だと思う。10回やってダメならそれで諦めるとか、300万円まではかけるがそれ以上はかけられないとか・・・。そういう方達の話を聞いて毎回感じるのは、「子供がいても幸せな人生、いなくても幸せな人生を築ける自分を作る。」これしかないといつも思っている。

 

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