口の中に鍼を打った話

最近通っている患者は坐骨神経痛や自律神経失調症、顎関節症と少し手強い。顎関節症は専門の歯医者を紹介しようと思って伝えたら、間違って違う歯医者に行って口の中に鍼を打たれたという。ビックリして大丈夫でしたかと聞いたら、「2回口の中に打ってもらってとても調子が良い。」という。私など40年もこの仕事をしていて今まで3回ぐらいしか口の中に鍼を打ったことがない。それも患者から頼まれて、顔面神経麻痺と三叉神経痛の酷い方。それがまぐれとは言え、口の中に打って戴いて効いたなんてまるで嘘みたいな話。こういうのはすべて患者さんの運。気になってその先生を調べてみたら、とても見識が高く、幅広く学ばれている。この先生ならなさるかもしれないという感じだった。まず口の中に鍼を打つとどうなるかだが、普通の皮膚に打つのと考えは同じだが、粘膜で痛みなど強く感じるところなので慎重になる。口の中のツボも諸説有り、定番はない。神経の走行に対して刺激すれば場合によっては神経障害を起こすこともある。口の中の粘膜刺激だけで顎関節症を収めるのは至難の業である。そんな印象を持っているので、鍼治療2回で治めたというのは凄い。この患者さんには治療中、「凄い,強運・・・。」と言い続けて時間が来てしまった。世の中にはすごい話が本当にある。

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