患者さんの訴えと病気の本質

病院勤務時代から、よく患者さんの訴えは聞いていた。
腰が痛いと言われれば腰を診て、膝が痛いと言われれば膝を診て・・・・。
しかし結論から言うとあまり治らない。
当時は理由が分からず困っていたが、段々経験を積むうちに理由が分かってきた。
それは辛い所と悪い所が別である。
そこに気がついた。
例えば腰痛、誰もが腰が悪いと思っている。
だから腰を揉んだり鍼をしてくれとなるのだが、これが間違っている。
腰は被害者で加害者が別にいるのである。
腰にしてみれば、「私はとばっちりを受けて痛みを出さざるを得ない状況になっているのです。犯人をやっつけて下さい。」と言っている。
犯人をやっつければ腰は痛みを出す必要がない。
ここに気がついてから、辛い所に影響を与えている場所を探し始めた。
腰なら犯人は足かお腹。
首肩なら、殆どが腕。
頭痛なら首のゆがみか歯・鼻炎。
アトピー性皮膚炎なら腸か歯。
鬱病なら腸とウィルス。
胃痛は左脚か左の背中。
寝違いは背骨の際と腕。
身体には自覚症状が出ないところがいくつかある。
膝痛は太腿が硬くて起こることが多いのだが、太腿はかなり悪くても自覚症状がまったく出ない。
だから症状を訴えるわけがないのである。
これがわかってから面白いように治る。
だから最近は患者さんの訴えを真面目に聞いていないわけではないが、どうせ訴えと違うところが悪いに決まっていると思ってしまう。
こんな関係がわかってから治療が益々楽しくなってきた。

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