瀉血について

今日来た方が料理中に手を切って慌てて血を止めたという。気持ちは分かるが、この出血に関して我々は少し違う感覚を持っている。19世紀には結核の治療で有効な手立てがなく瀉血をしていた。血中の鉄分を減らすと楽になる病気もあり、血を抜けば元気になると信じられていた時代があった。今では嘘みたいな話だが、当時はよく行われていた。しかしこの瀉血、劇的に効くこうがある。もう10年ぐらい前だが、私自身が飼っていたネコに手を噛まれグローブみたいに腫れてしまった。日に2回医者に行って点滴を行うほど酷かった。2-3週間治療を続けた後、思ったほど改善しなかったので、自分でメスを使って少し腫れているところを傷つけた。この瀉血、出血量に応じて楽になる特徴がある。流水で流しながら血が止まらないようにして治療をした。抜いた分、楽にはなったが、完全とは言えない。その後数日して、点滴をしているときに久しぶりに先生が診て、「あれ、まだこんなに腫れているの。少し横向いて。」何をするかと思ったら、メスで患部にブスッ。かなりの出血量だったが抜いた後の楽なこと、感動的だった。よく女性が長生きなのは毎月生理で出血をしているからという説があるが、出血した分、新しい血を作る。こんな話をしたら、「今度は手を切ったら少し出します。」と言っていた。

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