腕のこりに関して

今までパソコン病やストレスの所で腕のこりに関して書いてきました。
パソコン病はマウスを使うクリック病、ストレスは心臓が末端の血管を締めるため血行不良。
使い過ぎと血行不良で原因は違いますが、腕が硬くなる事は同じです。
しかしこの腕、つらくなったら自覚症状が出てくれれば治療はとても楽なのですが、つらくても感じないのです。
腕のこりから肩甲骨の動きが悪くなり、肩がこり、首がゆがみ、首肩に症状が出る頃になるとお見えになります。
そして腕を治療すると、「こんなに悪くなっているとは思わなかった。」と必ず言います。
太腿(大腿四頭筋)も同じような状況になり膝痛や腰痛を訴えて来るのですが、昔からどうして感じないのかが疑問でした。
数年前に患者に、「どうして感じないのですか?」と聞かれて応えられず、仕方がないので、「神様に聞いてくれ。」とごまかしましたが、それから2年ぐらい考えてうなされてしまいました。
ある時に「分離脳(右と左の脳を切断するとどうなるかという研究)」という論文を読んでいたとき、「そんな馬鹿なことはあり得ないのだけれどももし起こったら?」という考え方をしてみると、「もし腕や太腿(大腿四頭筋)に辛さを感じたら何が起こるか。」ということです。
人類が狩猟時代に遠くまで獲物を取りに行き、持ち帰る。獲物も重かったでしょうし、山坂もあったでしょう。
そんな状況下で腕の辛さを感じたら、獲物を担げません。また山坂を上り下りできませんので、妻と子の待つ洞窟へも戻れません。
確実に食糧を洞窟まで運び届けるのに腕と太腿(大腿四頭筋)のこりを感じていたら都合が悪いわけです。
いかに辛くとも男は獲物を洞窟まで運ぶ責任があった。
そのために腕と太腿(大腿四頭筋)の辛い感覚を感じにくいように神様が設計されたのではないかと思ったわけです。
では女性の場合はというと、子供の抱っこではないでしょうか。
しかし無理を続けて身体が壊れそうになると首肩腰に症状を出し、もう限界だよということを知らせてくる。
この説が正しいかどうかはわかりませんが、荷物を持つときの腕の筋肉は浅い筋肉と深い筋肉の2層構造ですし、山を登るときの太腿(大腿四頭筋)も同じ2層構造です。
そして腕を治療すれば首や肩が楽になり、太腿(大腿四頭筋)を治療すれば腰が楽になる関係が全く同じです。
現代社会では荷物は届けてくれるし、車やエレベーターのおかげで身体を使うことはほとんどなくなりました。
全く違う理由で腕や太腿(大腿四頭筋)はこりますが、治療のポイントとしてどちらも外せません。
よく、「こんなに腕や太腿(大腿四頭筋)をやってもらったことがない。」と聞きますが、辛い首や腰だけを治療しても効果は上がりません。
そんな神様の設計された時の気持ちと古代人類ロマンを感じながら治療をしています。

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