葬儀とぎっくり腰

この仕事を長くやっていると葬儀場に伺う事が以前あった。喪主は緊張と不眠、お酒などですっかり体調を壊し、ぎっくり腰になって動けないから何とかしてくれと言う。状況が状況だけに何とかしなくてはと思うが、治療の横でお経が聞こえてくると何とも不思議な気持ちになる。治療院にも喪服のまま来る方はいる。葬儀の途中で抜け出したのであろう。そういう方は全身何処を診てもパンパンで気の毒に思ってしまう。「これではつらいでしょう。」「葬儀の最中に不謹慎かとは思うのですが、身体が持たないのです。何とかして下さい。」と言う。喪主にしてもお坊さんにしても葬儀の最中に腰が動かないというのは格好が悪い。後になれば笑い話になってしまうが、その場では大問題である。ぎっくり腰を想定して喪主を務めなさいと言いたいが、そんな余裕はない。

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