鬱病を患った医者の講義

あるセミナーで鬱病を患った先生の講義を聞いた。本も書いているくらいだからもうすっかり治ったと思って話を聞いていたら、全然良くなっていない。心の葛藤がそのまま伝わってくる。抜けだせずもがく様子が手に取るようにわかる。診察はされているみたいで、鬱病患者とよく共感できると言っていたが、一度患うと結構根が深いことを感じた。我々が診たところおそらく、半分程度しか治っていないのではないだろうか。しかし診察はあるし、いつまでも休んでいられない。この先生の講義を聞きながら、人は治らないものを抱えながらも前に進まなくてはいけない。良くなりたい気持と希望、良くならない現実と悩み、すべて混ざって生きている。以前脳梗塞のブログで、諦めない気持ちとこのままでいいやという気持ちで書いたが、矛盾する心を持っている。子供の頃みたいに100%晴れ晴れという状況は中々ない。これも修行と言ってしまえばそれまでだが、こういう状況の中でも喜べるものを見つける力こそ、生きる力だと思う。時々は鬱病を患った医者の話を思い出す。

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