内転筋の話

内転筋とは太腿の内側の筋肉のことである。スポーツ選手は内転筋の重要性を理解しているが、一般的には知られていない。長年人の身体を診ていると老いによって身体の何処がどう変化するのかが見えてくる。特に男性の場合、40代後半ぐらいからお腹は出てくるのに太腿は細くなってくる。太腿が細くなりだした頃から根気がなくなったり、坐骨神経痛で腰が痛くなったり、医者に行くとコレステロールが高いとか言われだす。精力もなくなってくるから深刻だ。最近テレビを見ていたらレッグマジックとかいって足を横に拡げたり、つぼめたりするマシンを見た。ある方にこのマシンの話をしたら、真面目に朝2分、夜2分こなされた。一ヶ月後には見違えるほど太腿が太くなっていたので、「プロをつけて指導して戴きましたね。」と言ったら、「いや頼んでいない。教えてもらったレッグマジックを朝晩やっただけだ。」と言われてこっちがビックリしてしまった。この方はトライアスロンをなさるので、走るタイムが上がったと喜んでいた。女性も閉経のころ、何となく内転筋の締まりがなくなってきたと感じる方もいると思う。去年はピチピチだったズボンが今年は太腿がゆるい。実はこの内転筋は下腹部の状態がそのまま投影される。お腹の調子も良く、尿漏れなどもない方は内転筋はしっかりしている。90才でも元気な方はこの内転筋がしっかりしていて、皮下脂肪も豊である。お風呂上がりに全身を鏡で見て、内転筋がたるんできたなぁと感じたら、慢性の腰痛や便秘、足の冷えや尿漏れなどの予備軍である。もちろん老化の1つであるが、筋肉を鍛えて防げる病気もあるので、じっくりご自分の内転筋を見てはいかがだろうか。