按腹について

この時期、食べ過ぎの方も多いと思います。
少し専門的になりますが、按腹(あんぷく)の話をします。
按腹とはお腹のマッサージです。
江戸時代には冷蔵庫はなかったので、お腹を壊した方は多かったと想像されます。
当時のあん摩さんがお腹をよく揉んでいたことがわかる挿し絵が文献で残っています。
我々も治療で按腹をしますが、難しい腰痛の方には必ずおこなっています。
腰や脚を治療して腰痛が楽になる方はいいですが、すこし難しい腰痛になるとお腹をいじらないと治りません。
どういう関係があるのかとお思いの方もいると思いますので、解説いたします。
まず腰痛はほとんどのケース腰が悪いわけではありません。
取り巻きが悪いのです。
取り巻きは腰にとって下は足、前はお腹、上は背中や肩です。
足の異常が腰に悪影響を与え、お腹の異常も同じです。
お腹のある一点を刺激して痛んでいる腰に響くことがありますが、これなどはお腹が原因の腰痛と言っていいと思います。

あとは胃腸の働きの悪い方です。
へその上の硬さはほとんど胃ですが、余程一辺に食べるのか、噛まないのか、胃酸が出すぎるのか、寝しなに食べるのか、ストレスがたっぷりなのかはわかりませんが、中には石みたいに硬い方もいます。
お腹が硬いと女性の場合でしたら生理痛があるか妊娠しにくいです。
腸の反応も大事で、便秘やガスが抜けなかったり、腸の動きが悪かったりといろいろです。
我々は腹圧といってお腹を風船に例えて、内圧を下げようとしますが、お腹がスッキリしていることほど快適なことはありません。
「体調は腸で決まる」と以前から言ってきましたが、現代人の食生活を見ていると少し不安になります。
以前にコンビニ食を数ヶ月続けて、すっかりお腹を壊し、自分でもおかしいと感じた方が自炊に切り替えましたが、その方のお腹は石のように硬く、とても数回の治療で改善するレベルではありませんでした。
治療家にとって按腹は日常的ですが、まだまだ知名度がないようです。
全身マッサージを受けてもほとんどお腹をいじらないのではないでしょうか。
もし具合の悪さがお腹からきていたら、良い結果は出せません。
一昔より、私自身治療の中で按腹を多用しているように思います。
お腹も整えてこそ全身調整です。