母なるリハビリについて
最近、アキレス腱や膝の手術をした後、リハビリを十分しないために、坐骨神経痛が起こってしまった患者が続いた。
私が病院勤務の頃は救急指定だと大体、脳卒中か交通事故の患者がほとんどなので、リハビリはかかせない。
しかし最近はリハビリをやっていない病院が増えた。
場所も取る、人手もいる、時間はかかる、保険の点数は高くないと病院の経営にはマイナスだ。
手術をして退院となると治療はそれでおしまいと思ってしまう。
しかし我々から診るとそこから足のバランスを取ったり、筋力を上げたり、腰を調整したり、腹圧を下げたり、生活指導がある。
手術が終わってすべて終わりなら楽だがそうはいかない。
一番わかりやすい例は左膝を手術した場合、右脚に負担がかかるのは理解して戴ける。
そのままにしていると右の腰痛や坐骨神経痛を起こしやすくなる。
それを我慢して放っておくと、肩や首までゆがむ。
それが頭痛の原因になったりする。
ほとんどは腰痛でくるので、リハをしないからだというと、やってもらえなかったという。
患者心理からすれば、リハが必要なら教えてくれればいいのにと言いたいだろうが、手術の後そこまで親切にしてくれる病院は少ない。
だからリハビリ難民が増える。
手術後、ほんの少し手を加えるだけで快適な生活が出来るのに、とても残念だがリハをやっていなくて悩んでいる人ばかりだ。
こういう方には「父の治療と母の治療」という話をしている。
父の治療とは手術のこと。母の治療とはリハビリのこと。
子供の教育もそうだが、父親が怒った後に母親がフォローをしてくれないとなかなか子供は育たないのと同じだ。
両方でワンセットである。
病院勤務の時、外科の先生が手術のあと抜糸も終われば、「あとはやっておいてね。」と言われたものだ。
リハビリが終わって、卒業となる。
父の治療と違って、母の治療は細々した症状を一つずつ聞き、対応していく治療だ。
身体も子供も母親がいないとなかなか育たない。