やがて薬は着る物

師匠から発明王エジソンの言葉を何度か聞いている。
「未来の医師は薬を用いないで、彼の患者の治療において、人体の骨格構造、栄養、そして病気の原因と予防に注意を払うようになるだろう。」
師匠は消化器が専門だが、長年治療を見ていると現代医学の薬より、漢方薬や乳酸菌、健康食品と食の養生の話ばかり指導している。
投薬に関しても薬を飲むことを内服と言うが、どうして「服」という言葉を使うのだろうか。
それは昔、身体の外に薬を「衣服」のようにまとって病気のもととなる邪気の浸入を防ぐ事を外服、薬を体内で効かせるために飲むことを内服と言っていた。
しかしこの薬を身にまとうことで治療効果が上がるのである。
嘘みたいな話だが、以前顔面神経麻痺の患者さんに薬を張ってもらった実験をした。
頭痛でも歯痛でも薬を飲むのではなく、張るのである。
全員に効くとは言わないが、結構効果を上げる。
いやになれば外せばいい。
以前、染色の専門家がマスクに呼吸器疾患でよく使う薬(小青龍湯)を染めて試作品を作っていたが、この考え方だといくらでも応用がきく。
八味地黄丸入りのもも引きや当帰芍薬散(胃炎に注意)入りの女性のパンツ、芍薬甘草湯の靴下、葛根湯入りの帽子。
やがては薬はまとう物というのが現実になりそうだ。
身体のゆがみを治し、正しい栄養指導と生活環境、少々予防に気持ちを傾けて戴ければ、薬は飲むものではなく着るものになるに違いない。
大昔、薬は飲んでいたとなれば笑われる時代が来るのではないだろうか。