ピロリ菌除菌に関して

最近、ピロリ菌除菌の話がよく出る。
少し話をまとめてみたい。
以前は胃のように強酸状態で生息できる菌はいないと思われていたが、犬の胃液かららせん菌を見つけた。
その後、ピロリ菌の存在が確定し、胃がんとの関係が指摘され、萎縮性胃炎・胃潰瘍・十二指腸潰瘍などでも除菌が推奨された。
年齢と共に感染率が上がり、日本人の6000万人がピロリ菌に感染している言われている。
しかし胃がんの発生率は地域差があり、特にその中で喫煙や塩分のとりすぎが深く関係していると言われている。
子供の頃にピロリ菌の除菌をしておくと、胃がんの発生率は押さえられると考えられている。
最終的には遺伝子の問題なので、胃がんの完全予防は難しいが、その中でも胃の膜が薄くなる萎縮性胃炎と診断されたら検査は必要だ。
しかし除菌治療を行った人の中には逆流性食道炎や食道がんのリスクが増加すると報告され、除菌しなくてもいいという先生もいる。
当院でもアトピー性皮膚炎の方が除菌して、顔にヘルペス感染を起こして難渋した経験があるが、乳酸菌を摂取したり、胃に対して温灸をしたり、ピロリ菌を減らす食品を食べたりと、事前の努力をしないでいきなりの除菌は楽ではない。
1ヶ所で除菌を薦められても、セコンドオピニオンを求め、総合的に病気の全体像を理解した上で判断して戴きたい。
病気というのは常にそうだが、個人の身体に差があるように、治療法にも幅がありこれが正解というのがない。
常に天秤にかけ、判断していくものである。
また状況が変われば、判断も根本から変わってしまうものである。