どうせ治りっこない
以前、膝の半月板を痛めた方が治療しても中々良くならなかったので、諦めてしまったという。
たまたまご縁があって当院で治療してから1年ぐらい経ってから、本人も納得するぐらい回復した。
経過が良かったので本人はすっかりこれでいいと思って、来なくなってしまった。
そうしたら1ヶ月ほど前から膝がまた痛み出し、医者に行ってMRI検査など徹底的に調べてもらったが、特段以前と変わりはないという。
本人はこれだけ痛いのだから、半月板が悪化したと思っていたのだろう。
レントゲン上で問題がないと言われて、半年ぶりにまた当院で治療した。
診ると膝に熱を持っている。
膝は熱がなくならなければ絶対痛みが取れない。
そして膝が痛くない方の足がかなり硬い。
これは痛みに耐えたという事だ。
こういう状況に遭遇すると、ある考え方が出てくる。
それは、「どうせ治りっこない」という考え方だ。
希望のないような話だが、我々から見るとこういう方は、将来(15年後ぐらい)、必ず坐骨神経痛が出る。
ちゃんと継続治療していれば避けて通れるが、痛いときだけの治療では、坐骨神経痛は避けて通れない。
痛くなったときだけ治せばいいという考え方から起因しているわけだが、その考え方を「どうせ治りっこない」と思えば、治療は継続しなくてはならないと思うだろうし、少し筋トレも必要、無理して山登りをする必要はないなど、行動がかなり変わってくる。
どうせ治りっこないと考えるだけで、将来の坐骨神経痛を避けて通れる。
これはがん治療などにも言えることで、がんが完治したから何をやってもいいということはない。
一生がんはついて回ると考え生活した方が最終的にがんから一番遠ざかっている。
希望のない考え方が人を救うこともある。