子供の心理
子供の治療には時として神経を使う。
それは結果を白黒で求めるからである。
以前に、「先生、僕の腰を治せますか?治せないのならよそへ行きます。治せるのなら通います。」と言われて、返答に困ってしまった。
気持ちも分からないわけではないが、怪我をして治るということは子供にしてみれば、「100%完治」を意味しているので、少しでも違う状況になると不安を感じてしまう。
「先生あの時、この骨折は問題ない、大丈夫と言ったじゃないですか?でどうして今、この練習を控えなくてはならないのですか?他の皆んなやっているのに・・・。これは完全には治っていないということではないのですか?でも大丈夫と言いましたよね。」
こういう質問にも困ってしまう。
大人になればある程度、妥協とか経験でこんなものといった感じがあるが子供にはない。
この質問を受けてからこちらも考えて、最近は次のように答えている。
「一旦身体が壊れてしまった場合、100%治らないこともある。しかし能力的に今まで以上のことをしようと思ったら、それはあなたが筋トレなどで努力しなければ駄目だ。これにはプロの先生の指導と治療がいる。あなたにその気持ちがあるのならいくらでもつき合う。」
治療だけで答えが出るわけではない、あなたの努力次第で変わるということを伝えると殆どの子が、「頑張ってみる。」と言う。
子供は子供なりに悩んで考えて我慢している。
大人以上に子供との会話には気を使う。
我々の何気ない一言が子供の心に刺さって、抜けなくなってしまうからである。
こんな所にも我々の修行がある。