治療法は白黒つかない
先日、アトピー性皮膚炎でおみえになった方が、ステロイドを使っていたが、あんな物はすぐ止めろと言われて止めたらリバウンドしてしまった。
抗がん剤は毒だから使ったらおかしくなると言って、止めたらがんが増殖してしまった。
どうも世間では治療法に対して、白黒つけたがる。
グレーの話が殆どない。
これは困ったことである。
長年の経験から言えることは、「治療法は殆どグレー」である。
アトピー性皮膚炎もステロイドを徐々に減らして頂ければ、その間に免疫を強くしたり、食生活、過敏物質を割り出して手が打てるのだが、塗るか止めるかでは極端すぎる。
抗がん剤の怖さは理解しているが、使わなければならない時はある。
ある程度の大きさに成長して、がんに勢いがある時は抗がん剤は必要である。
その後がんが小さくなってからは薬だけに頼らず、免疫療法など併用すると身体に対して負担がない。
これもグレーである。
暖める冷やすに関しても仕事柄、これはどっちをやればいいのですがと聞かれるが、炎症があれば冷やして、すこし時間が経てば暖める。
では何時変えるのか説明しにくい。
結局やってみて楽な方という、曖昧な答えが一番正しくなってしまう。
「朝令暮改」が当たり前の世界である。
前回の治療で○○と言っても、身体が変わるので、毎回同じ指導ということはない。
舟のようにゆらゆら揺れながら、右に行ったり、左に行ったりしながらゴールを目指すのである。
我々が見ているのはゴールで、途中大きく右にそれようが左にそれようが、最終的に着けばいいのである。
海に浮かぶ木の葉のような気持ちでいると生きるのが楽である。