脳は生涯にわたり発達し続ける
筑波大学名誉教授・村上和雄先生のお話しより一部引用
黄金期を迎えつつある脳研究によって、私たちが従来教えられてきた脳に関する常識は、次々と破られてきた。
例えば、傷ついた脳が自然に治ることはないという通説は誤りで、脳神経細胞は環境に応じて再配線できる。
さらに運動、精神的活動、社会的なつながりが、神経細胞の発展を促すといった事実が判明した。
従って、脳の働きは決して固定的なものではなく、作り替えが可能である。
以前なら思いもよらなかったような驚異の治癒力が脳に備わっていることが分かった。
脳から全身の細胞に指令が出ているから、脳は身体を動かすリーダーのように見えていた。
しかし、決してそうではなかった。脳を動かしているのは、自分の心であり、意識だ。
脳はテレビやラジオの受信機のようなものであり、心や意識が真の創造者である。
脳は私たちが「できる」と思っていることしかできない。
逆にいえば、「できない」と考えていることはできないのだ。
このダイナミックでしなやかな脳の働きは、遺伝子の働きに関する最近の研究とよく符合する。
ヒトの全遺伝情報(ゲノム)の解読以前は、DNAは生命の設計図であり身体の働きを支配していると考えられていたが、事実は違っていた。
DNAは単なる設計図にすぎず、それも環境によって書き換え可能な設計図である。
従って、生命はDNAに支配されていなかった。
それでは、生命を支配しているのは脳か? そうではない。脳は、前に述べたように情報の受信装置のようなものであり、受信装置そのものが歌ったり、考えたり、ドラマを制作したりするものではない。
真の制作者は、DNAや脳ではなく「人間の意識」であると考えざるを得ない。
そして、生命の真の創造者は、人間の意識をも超えた大自然の偉大な働き「サムシング・グレート」だといえる。
慢性病は意識がつくり出している。怒りや恨みや憎しみなどの感情を持つと、それが悪い遺伝子を活発にしてしまい、ガンや心臓病の原因となる炎症を起こす。
一方、喜びや愛、他人の成功を喜ぶという感情を持つと、良い遺伝子が活発になり、身体は病気にかかりにくくなって、肉体年齢も若返る。
脳には心と身体と外界のバランスをとる自己制御装置があり、これを上手に使うことによって、素晴らしい人生を築くことができる-と。
脳に使われるのではなく、脳を上手にコントロールして使うことが肝心だ。
そのためには、固定観念を捨て去り、柔軟性を持ってリラックスすること、素直であること、心配しないことなどが大切である。
そうすることにより、あらゆる局面を切り開くことが可能になる。身近なところでは、なかなかできないダイエット、振り払えない心の傷、仕方がないとあきらめていた体力の減退、脳の老化にかかる認知症や鬱病まで克服できる可能性がある。
人は心の持ちようを変えることによって、遺伝子のオンとオフを切り替えれば、一生涯進化できる可能性がある。
一般に、頭がいい人と悪い人がいるといわれているが、脳そのものにはいい、悪いの区別はない。
使い方によって、良くなったり悪くなったりする。脳を上手に使えば、思いは必ず実現する。