膝痛の苦い思い出

数年前に群馬県から膝痛の方が通ってきていた。診た感じはそんなにひどくなく、良くなると思って治療したが、まったくと言っていいぐらい効いていない。こちらもあの手この手と数種類のやり方を試したが、とにかく痛みが取れない。段々打つ手がなくなり、患者さんにお詫び方々、お手上げ宣言をした。それから数ヶ月して別の症状で来られた。こちらは気になって、

「あの膝はどうしました?」
「今は痛みは取れています。」
「何をやったのですか?」
「ただ、近くの整体に行って擦って揉んでもらったら楽になりました。」
「え、そんなばかな・・・。具体的にどうやったのですか・・・。」
話を聞くとどうもリンパマッサージみたいに心臓に向かって擦っただけだという。こちらが苦労してあの手この手を尽くして痛みが取れないのに、擦って治ってしまうなんてあり得ないと思ってしまった。そんなある日テレビを観ていたら、膝痛に関して新しい論文が出て、痛みに関する物質を膝からなくせば楽になるというような番組をやっていた。はっきり覚えていなくて恐縮だが、どうも心臓に向かって還流促進するといいらしい。物は試しと通院されている方にタルク(ベビーパウダー)やオイル(スクワラン)を使ってやってみた。これが面白いように痛みが取れる。群馬からの患者さんが言っていたことの意味がわかった。それ以来当院では膝痛の酷い人には行っている。しかし膝は熱を持っていると極端に成績が悪いので、熱が引いてからである。実際、タルクなどで少し強めに皮膚を擦るとダマを触れる。皮下の脂肪層か筋膜の上かよく美容でセルライトと言っているが、何とも言えない固まりを感じる。それを擦ってダマをなくすと極端に成績がいい。筋膜が剥がれるのか皮下の血流改善なのかわからないが、やっていてこんなに効くのと思わず言いたくなる位の成績である。これで味をしめ、パソコン病の問題点、腕にもやってみたがあまり効かない。どうも重力に対して逆らって、頑張っている場所に効くようである。何か思いだしても苦い思い出であるが、そのおかげで膝痛で悩むことが殆どなくなった。

無題