煙に巻く
慢性病の方は多い。
肩はこり、心臓は苦しい、胃の調子は悪いし、腹圧も高い、腰はだるいし、足はシビれる。
何処から治療したらいいのか、病気の犯人を捜そうにも色々とありすぎて、何処か一ヶ所だけ治療してもうまくいきそうにない。
そして辛い症状が続いている。
そんな時はのらりくらりと、煙に巻く治療がいい。
腰が辛いと言われれば腰を重点的に治療し、胃腸が悪いと言われればお腹を揉み、患者さんの言われるままに治療していくとうまくいく。
身体にはどうもリズムがあって、何をやってもうまくいかないときが確かにある。
そういう症状は「不定愁訴症候群」と言う。
症状に関連性が殆どない。
歯が悪くて噛めないので、胃が悪いというなら誰でも理解出来るだろうが、症状同士に関係性を見いだせない。
それ故、病気の犯人捜しをしても出てこないのである。
患者さんとしては、「薬は何を飲めばいいのですか?」と答えを欲しいだろうがうまくいかない。
治療も何となく楽になるように、症状をあまり感じないように煙に巻く。
何時良くなるでもなく、何回で治るでもなく、ただ続ける。
そして時を待つと自然に答えが出てくるから不思議である。
やはり身体には何かのリズムが存在する。
それが見えてくるまでは、煙に巻くやり方が一番いいと最近感じている。