日野原先生の診察
聖路加病院の名物院長日野原先生は105才だという。以前テレビを観ていたら、肝臓がん末期の女性が若い担当医から、「肝臓がんが少し大きくなっています・・・。抗がん剤を考えましょうか・・・・。」「そうですか・・・・。」何とも病状を告げる医者もそれを聞く患者も声のトーンが落ちる。その患者が病室に戻った後、日野原先生が回診される場面になって、「日野原先生、聞いて下さい。私の肝臓がん大きくなっちゃったんです。」「そう、がんはね、大きくなると死ぬの。」「え、・・・。あ、そうですよね、がんは大きくなると死ぬのですよね。」「そう、がんはね大きくなると死ぬの。」この会話には心底驚いてしまった。しかし日野原先生とこの会話の後、この患者さんは何か吹っ切れたみたいで元気になり、少々延命したという。回診の終わりに先生から、「わしももうすぐ行くから、あなた先に行って何処か良い所を見つけておいてくれ。」と言われて、「わかりました。探しておきます。」がんが大きくなれば死ぬことは誰で知っている。しかしそれを隠さずダイレクトに受け止めるとなぜか人は元気が出てくる。もう日野原先生の診察は医者の診察ではない。何処かの宗教家の指導である。日野原先生は既に5000人を送っていて、こういう事はさすがに先生以外はなかなか言えないと思う。最近は瞑想や座禅、マインドブフルネスなど企業が取り入れているそうだが、あるがままの自分を受け入れると人は強くなる。そんな事を日野原先生の「そう、がんはね大きくなると死ぬの。」から学んだ。