原因が全く違う坐骨神経痛

皆さんは腰や太腿が痛いと坐骨神経痛だと言う。
間違ってはいないのだが、我々から診ると全く原因が違っても、腰が痛ければ全て坐骨神経痛になってしまう事には多少の違和感がある。
坐骨神経痛と言っても部位毎に原因が違う。

まず正式な坐骨神経痛は坐骨神経の通り道が病む。
場所は太腿の中央でお尻に上がったところである。
ここを必ず坐骨神経が通るので押すと痛い。
次に胃腸がらみの場合は、その上で腰骨の下あたりに反応点が出る。
これは「小野寺臀点」と言って久留米医科大学学長を勤められ、胃腸疾患が専門で消化器病診断に小野寺式圧診法を開発された小野寺直助先生が見つけられた反応点である。
つぎに真横に出た場合はこの筋肉は中殿筋と言って、左右の脚のバランスを意味している。
どちらかが硬い場合は、脚に左右差がある。
大体この3点が代表的な痛むところだが、微妙に痛みが変化する。
継続治療をしていると、胃腸の変化や脚の左右差の推移などがお尻だけで判断できる。
身体は現状を知ってもらおうと色々な情報を的確に出しているのだが、それを読めるかどうかは我々の腕次第である。
お尻一つを取ってみてもこれだけ情報が絡み合っているということは、単に腰に効くと言って漢方薬を飲んでも良くならないことは理解出来ると思う。
胃が原因で坐骨神経痛なら胃薬や胃の治療、脚のアンバランスなら左右を整え、坐骨神経自体が痛めば鍼灸などがいい。
これだけ使い分けないといい結果が出せない。
漢方薬が効いたのはたまたま条件が揃っていただけである。
坐骨神経痛の治療と言っても十把一絡げには出来ない。
いつもお尻を治療しながら何処に原因があるか考えている。