この仕事の最大の欠点
常連さんを治療していていつも感じることは、「患者の身体が自立しない」事である。
教育で言えばいつも家庭教師がついていて答えをすぐに教えてしまうようなものである。
身体が辛ければすぐに治療してしまうので、患者が自力でもがいて創意工夫して治そうとしなくなる。
以前、神経痛だったと思うが真面目に通っていた方が、突然病院に来なくなった。
酷い症状だったので、皆で心配していたら数ヶ月ぶりに来た時には治っていた。
何をやったのか聞いたら、ただ耐えていただけだと言う。
そんなばかな事があるかと思い、身体を診たら本当に治っていた。
なぜそうなったか考えたが、眠っていた能力が身体の中から湧いてきたとしか考えられない。
毎日まめに治療していたときには見られない状態だった。
身体は危機にさらされるとあんなにすごい力が出せる事を知った。
常連さんには時々この話をする。
週に1回は来ている常連さんが1ヶ月来ず、腰を診たら実に良い状態であった。
何をやっていたのか聞いたら、思った時間に予約が取れないのでゴルフボールと柱の角で背中を擦っていたという。
これが功を奏したかはわからないが、今までにない良い状態になっていた。
やはり我々の治療が眠っている力を出さない一面があると思う。
昔師匠から、「心の力を引き出す。」という本質の指導を頂いたが、なかなか出来ない。
どうしても我々が手を出してしまう。
家庭教師も答えを教えたくなってしまうのと同じだ。
少し知恵を絞りながら、身体の底力を出そうと日々考えている。