先生を育てる患者

以前はよく、「ここに鍼を打ってくれ。」「前回の治療では○○が足らなかったから、○○を足してくれ。」「○○のツボを探してくれ。」「もう少しその周辺を診てくれ。」「先生は○○という考え方だろうがいつも刺激が足らない。少し周辺にツボを探してくれ。」「治療してもらうと○○だが、何かスッキリしない。別の方法はないのか。」「毎回同じ刺激では効かなくなっている。別の方法はないのか?」とよく言われた。最近はアドバイスを頂く事は減ったが、昔は治療の談義というか治療論を患者さんとよく闘わせていた。こちらが若い頃には、「先生が生まれる前から治療は受けている。もう家一件分ぐらいの金は使った。」と言われた。確かにそういう方は指摘が鋭い。こちらも若いなりに必死だったが、今から考えるとそういう方達のおかげで育てて戴いたと思う。そしてそういう患者さんは良くかかる。週に一度ぐらいは必ずかかる。そして手に取るように病状が分かるので、こちらも勉強になる。昔は少しうるさい方だなぁと感じていたが、今になると感謝しかない。この仕事をしているとよく、「あそこの先生はまだ若くてダメ。」と聞くが、そう言うときは、「先生を育てると思って指導してあげてください。あなたのアドバイスはいつも的確ですから・・・。」と言ってお願いしている。草も木も育つには時間がかかる。うるさく難しい患者のおかげで今がある。