夏バテという便利な言葉

これだけ猛暑が続くと夏バテと言ってくる患者が多い。この夏バテという言葉は我々にとってとても便利である。体調が悪い原因を探らなくて済むし、何となくこの言葉だけで納得してしまう。「先生、腰や肩は痛いし胃腸も調子悪い。夜は眠れないし、だるくて仕方がない。」「この天気では夏バテでしょうね。」「私もそう思います。」で話が完結してしまう。他の症状なら、「原因は何ですか?どういう治療法があるのですか?他にはないですか?」と質問攻めされるが、この夏バテは原因も聞かれないし、治療法も言わなくていい。間違いなく日本人の共通言語だ。梅雨もそうだと思う。また寒の入りもそうだ。季節の変わり目に皆で夏バテとか言いながら過ごす。すこし時間が経てば季節が変わり、夏バテはなくなる。皆が辛いのだから、こんなものでしょうといった感じである。日本人の特性なのだろうが、皆で辛いときにはあまり原因も探らず、治療法も求めず、時を待つ。この夏バテという言葉を使う度にいつもそう感じている。