ドブ理論
日舞をやっている方が毎回膝が痛いという。確かに稽古をやればやるだけ膝に負担がかかるのは分かるのだが、その方に「ドブ理論」の話をした。昔田舎では何処にでもドブがあった。慣れない自転車でドブに落ちないように「ドブやだなぁ、もうちょっとでドブに近づく・・・・」とドブのことばかり考えているとドブに落ちる。ゴルフでも同じで、池ポチャいやだなぁと池ばかり見ていると池に落ちる。頭の中は池ばかりで池以外見ていない。「やはり池に落ちた。次も落ちるといやだなぁ。あそこにも池がある。」病気も同じで1つの症状ばかり気にしているとそのことで頭がいっぱいになる。頭痛の方なら、「こんな時に頭が痛くならなければ良いなぁ。あ、少しズキズキする。薬を飲んだ後もまだ少し痛みを感じる。治らないのかなぁ。先週もそうだった。来週もそうだといやだなぁ・・・。」ほんの少し辛い症状を常に意識している。これでは治らない。日舞の方には次のような話をした。「稽古をして膝が辛いのはわかるけど、膝ばかりに意識を向けないで、例えば来年国立劇場でリサイタルを依頼されたとするでしょう。そうしたらどんな演目にするか、誰に案内や招待状を出すか、地方さんはどうするか、衣装はどうするかなど頭が一杯になるでしょう。膝のことは忘れますよ。結局余裕のある方が痛みを感じている部分があるのです。忙しくすれば痛みは感じにくくなります。」「そういうものですか?」「そうです。ゆとりがあるのは良いことですが、膝ばかりに目を向けるのは問題です。悩み事を解決するのは仕事に集中する以外ありません。」