還暦を越えた女性の考え方
仕事柄、還暦を越えた女性は多い。
特に65才を超えるとご主人の仕事もなくなり、出てくる言葉は老後のことばかりである。
「主人があと15年生きたとして、その後は○○をしよう。」
「主人を送ればこの家に住む必要はないから、実家に戻ろう。」
なぜか話の前提がご主人が亡くなってからである。
同じ内容のことを言う方があまりに多いので、この年代の女性はそこが最大の関心事なのだろうと推測がつく。
すごい方になるとご主人を久しぶりに当院に送り、ご主人も何で来たのかわからず、その後すぐに奥様が来て、
「うちの人はあと何年生きるの?」
「え、そんなのわかりませんよ。」
「病気のことがわかるんだから、寿命もわかるでしょう?10年と20年では色々と変わるし・・・。」
中々きわどい問題ではあるが、男の人でこういう話をする方は一人もいない。
皆女性である。
妻を亡くして寂しいという話は聞くが、その逆はあまりなさそうである。
仕事をしていてもつれ合いをなくされた場合、男性の場合はこちらが聞いていないのに初診時に、「実は半年前に妻を亡くしまして・・・。」と口から出てしまう。
女性の場合は何かのきっかけで話しが出ると、「主人を1年前に亡くしたんです。」と言うが、自然に出ることはない。
我々から見ると明確に違う。
以前、定年後の男の生き方を書いたが、将来をあまり考えない男性と、ご主人亡き後のことばかり考えている女性の溝は埋まりそうにない。