棘と玉葱

常連さんが交通事故に巻き込まれ、首を痛めた。レントゲンを撮ってもそんなに酷い状況ではないが、我々が診ると筋肉の緊張があり、治療は必要なレベルである。整形に行ったりうちに来たりで鞭打ちの治療していた。そんな時きつい靴を履いた後で足の指の痛みが気になった。この方は我慢強い方なので、そのままきつい靴を履き続け、ついに痛みは腰にまで上がってしまった。以前から我慢弱い生き方と言っているが、中々この方は自分の性格と合わないのか、無理に無理を重ねてどうにもならないと来る癖がある。そんな状況の中、玉葱を剥いたら異常に涙が出て目まで腫れるのでこれはおかしいと思って早めに睡眠を取ったら、いくらでも寝られるという。連休中、後半は殆ど寝ていたという。この話を聞いて、「それは交通事故だけだって身体に棘が刺さったのと同じなのに、足の痛みを我慢し続けた。それはもっと大きな棘を刺したようなもの。身体が痛みに対して敏感になっているときに身体が玉葱に対して異常に反応することで、『身体はこんなに弱っているんだよ。』と言う事を教えてくれたのでしょう。」と説明した。患者さんには見えない身体の棘もひとたび悪環境にさらされれば、ちゃんと意志を示すものである。