オキシトシンについて

人のために祈ると超健康になる! (米国医科大教授の革命的理論) 著者:高橋徳

タイトルが気になったので読んでみた。脳の視床下部から分泌されるオキシトシンは「母親のホルモン」と言われ、陣痛・分娩の促進と母乳の分泌にかかわることが知られています。しかしこれは女性特有のホルモンではなく、男性の脳内にも存在します。アメリカ留学で「ストレス」や「鍼」の研究をした後、帰国後、「オキシトシンとストレスの関係」の発表を聞き、ラットで実験をします。ラットにストレスを与えるとそのせいで胃が動かなくなります。しかしオキシトシンを頭に注射すると胃が動き出すのです。オキシトシンに抗ストレス作用があることを掴みます。東洋医学ではストレスを受けて胃が動かない場合、足の三里に鍼をして刺激します。そうすると胃が動き出すのです。これをラットで調べると脳の視床下部でオキシトシンを作る細胞の数が増えていることがわかりました。次にストレスを与えられたラットを巣箱に戻すと、他のラットから面倒をみてもらえ、面倒をみられた方も見た方も両方オキシトシンが上がっていることがわかりました。「愛すること」と「愛されること」でオキシトシンが増えていたのです。このことを「利他の行動」がオキシトシンを増やすと解説しています。そして宗教的な「祈り」とも合わせて解説されています。

読みながらとても合点のいく話ばかりで、一気に読んでしまった。仕事柄、自分も体調が悪いのに、ご主人や子供の病気を気遣い面倒をみているうちは何も症状を訴えないのに、ご主人や子供の病気がよくなり手がかからなくなると途端に、痛みを訴える方をよく診ますが、気持ちとオキシトシンで説明がつきます。よく芸能人の追っかけで、時間とお金を使い、「○○さんのコンサートに行ってきました、とても良かった。今あの人は△△の病気を持っているので、とても心配です。応援してきました。」と言う方は皆元気である。それが一段落すると今度は自分の腰が痛いと始まる。これもオキシトシンで説明がつく。以前ダライ・ラマ法王様の説法の中に、「他人のことを思う訓練をしなさい。」というのを思い出しましたが、これは人が幸せになる秘訣なのだと気がつきました。