別荘の話

患者さんで別荘を持っている方は多い。ハワイ、オーストラリア、軽井沢、熱海、蓼科と大体店番の所である。仕事が現役の50代、60代に買って外国なら夏休みや正月、ゴールデンウィークに必ず行く。現地で日本人と仲良くなると、「今度のお正月はまた会いましょう。」となる。しかし定年後長期間行くようになると、相手の仕事の都合など日程が合わなくなり、現役の時みたいには顔が合わなくなる。寂しい思いをしながら、段々今度は奥さんが行かなくなる。一人で行ってもつまらないから行く回数が減り、そうすると一軒家だと木の伐採や庭の手入れ、家の補修にプールの掃除と大変になるから、コンドミニアムに買い換える。聞いた話だが、テレビを変えるにも日本なら古いテレビを処分して新しいのに入れ替え、見れるようにしてくれるのは当たり前だが、外国ではそうはいかない。玄関に新しいテレビを置いて帰ってしまうそうである。「設置してくれ。と言うと、「業者が違う。」と言われ、玄関のテレビはそのままだそうである。設置してもらって、「古いテレビを持って行ってくれ。」と言うと、また「業者が違う。」と言われてしまう。日本のサービスは本当に至れり尽くせりである。ご主人が一人で行くようになると病気の不安があるから、今度はホテル暮らしになる。ホテルなら何かあった場合にすぐに来てくれる。結局別荘は処分する。仕事が東京で蓼科に別荘買うと過酷である。金曜日仕事が終わってから3時間かけて別荘に行く。布団だけ使えるようにしてすぐに寝る。土曜日は朝から買い出しと掃除。少しゆっくりして日曜日は冷蔵庫を掃除しなければならない。月曜日の朝の5時に起きて3時間かけて東京に戻りそのまま仕事。若ければ良いが、続かない。結局、蓼科の別荘も売る。別荘を持ち続けている方達は熱海か軽井沢である。軽井沢も昔は車で行ったが最近は殆どの方が新幹線と駅レンタである。別荘から通勤している方もいる。5時に丸の内で仕事が終わって、新幹線で1時間で軽井沢に着き、7時前には自宅で風呂上がりにビールを楽しめるという。通勤費だけがネックだが朝の8時前はネクタイ族で一杯だそうである。車で行かなければ時間は正確だし、帰りの新幹線でビールが飲める。熱海などは新幹線を使えば渋谷から会社に通うより近い場合があるという。この仕事を長くやっているとこういう話をよく聞く。結局考えることが同じで皆年を取り、色々不便を感じて同じことをする。人の行動パターンは本当に同じだと思う。