閉経と解放

常連さんが閉経して、もう女ではなくなったのかしらと言う。この閉経に関しては以前師匠から、「閉経は女性にとって解放である。」と教えていただいた。一般的に女性の生理は12才から48才までの36年間である。多少の前後はあるにせよ、50才に近づくと女性の症状は増える。その中で圧倒的に多いのが不眠である。その次にホットフラッシュ、関節の痛み、だるさ等々、不定愁訴のオンパレードである。極端な女性ホルモン低下なら補助療法でホルモンを補えば劇的に良くなるが、乳がんリスクとの兼ね合いで使いたがらない方もいる。50代女性を診ていて、「解放」は幾つも意味があると感じている。まずは妊娠の恐怖からの解放、年代的に子育てからの解放、経済的・時間的な解放、この年になると段々怖いものなしになってくる。そんな話をしたら、「だったら幸福じゃないですか?」と言う。「そう、閉経してから女性は本当の幸福になれる。だから悩む必要など全くない。じゃ聞くけど妊娠の恐怖があったり、子育て時代に戻りたい?」「いえいえ、今が一番いいです。」「これからもっと幸せになるスタートだよ。」「本当そうですね。」閉経で女性でなくなるといった気持ちになるのはわからないでもないが、真の解放が到来したのである。喜べばいいと思う。