圧迫骨折について
常連さんの女性が、「親戚から連絡で妻が圧迫骨折をして緊急入院をした。」と言う。常連さんも焦って、これは他人事ではないし、さぞかし大変なことが起こったのだと思ったという。しかし我々から見ると圧迫骨折はどうも言葉が一人歩きしている感じがある。「人間の身体を支える大黒柱が折れた。」「背骨がつぶれて機能しなくなった。」「神経を圧迫して寝たきりになってしまう。」などのイメージがあるらしい。確かにそういう一面はあるが、現実問題は少し背中が痛いぐらいで殆ど後遺症を残さず何とかなってしまう。若い方が尻もちをついた場合、痛めたばかりの時は、「この痛みは続くのでしょうか?」「後遺症はでるのでしようか?」「すぐに背骨が曲がるのでしょうか?」「つぶれても元に戻るのでしょうか?」と不安たっぷりの質問が来るが、余程派手につぶれていない限り、あまり問題は起こらない。「数ヶ月もすれば忘れていますよ。」と解説するが中々信じてもらえない。数ヶ月経って、「圧迫骨折はどうですか?」と聞くと、「あ、忘れていました。そういえば大丈夫です。」と返ってくる。仕事柄、圧迫骨折を数年治療し続けているケースはない。どうも骨がつぶれると強烈な痛みが起こると思っている。骨には神経がないのでつぶれて痛みが出るのは周辺の骨膜である。そこには知覚神経と血管がある。だから病院にいたときにレントゲンを診て、こんなに派手に折れているのに患者が痛がらないケースや逆に骨は何ともないのに痛がるケースがあった。すべて骨膜や周辺の炎症のレベルで痛みが変わる。年をとると圧迫骨折が2-3ヶ所あり、10cm位よく背が縮む。昔ほど背中が丸いおばあさんは見なくなったが、日本人の寿命が延びた分、閉経後の女性はちゃんと骨は診ておいた方がいい。日常生活(食事、買い物、掃除、洗濯)を自分でこなすだけで、予防出来る。