上半身のすれ違い

常連さんが、「先生が葛根湯は上半身の血流剤(肩こり、頭痛、風邪、喉の痛み、耳の症状に効く)と言っていたので、胃と心臓にもいいですよね。」と言う。「え、そこには葛根湯は使わない。」と言うと、「でもへそから上は上半身ですよね。どうして駄目なんですか?」と聞いてきた。
これには理由があって葛根湯が上半身の血流剤という場合は心臟より上を指す。よく下半身の血流剤ということで八味地黄丸を使うがそれに対抗しての上半身である。
まず心臓は頭とか自分の高さより上に血液を送るときは、血管を収縮させて圧を上げないと血液を送れない。下半身には重力で行くが、動脈と伴行と言って静脈を抱き合わせることにより、動脈が拍動したときに静脈を押して、静脈弁のおかげで血液が上に行く仕組みがある。だから基本は足に血液が行けば心臓までちゃんと戻ってくるはずである。しかし静脈の弁が壊れると静脈瘤と言って、足の血行不良が起こってしまう。そんな時は下半身の血流剤を使う。
血流剤がどうしても心臓を中心に考えるので、へそを基準に上半身ではないのです。
だから具体的に言うと「肩より上」になります。
こういうことは患者さんから言われないと気が付きません。同じ言葉でもすれ違いが起こった例でした。