脊髄損傷が治せる時代
病院勤務時代はリハビリをやっていたので、「脊損(せきそん 脊髄損傷)は絶対に回復しない。寝たきりで良くても車椅子。患者さんにはしっかり伝えなさい。」と言われ続けてきた。
先日、NHKスペシャルで、「寝たきりからの復活~密着!驚異の『再生医療』」を見て、まるで夢を見ているようで感動した。
番組の中で、「今までは薬で治そうとしてきたが、これからは細胞で治す時代」というコメントもあり、iPS細胞がノーベル賞を取ってから一気に再生医療への関心が高まってきた。
今回紹介されたのは札幌医大の本望修教授の研究で「間葉系幹細胞」と言って、患者自身の骨髄液を採取、分離、1万倍に増殖培養して点滴で患者に戻す。
間葉系幹細胞は内臓、血管、骨、軟骨、筋肉、さらには神経などに分化できる性質を持っているという。治療は1回の点滴で終了する。作用メカニズムは「神経保護」「血管新生」「神経再生」などを経て活性化するという。
間葉系幹細胞の製剤による脳梗塞の治験も2013年から始まり、今後ALS(筋萎縮性側索硬化症)神経難病や、アルツハイマー病などにも適応拡大できる可能性がある。すでに安全性も有効性も国から認められ、今年から急性期に限ったものではあるが公的医療保険も認められた。
まさに夢が現実のものとなってきている。
番組の中で、「今まで我々は脊損の治し方を知らなかった。」というコメントが心に刺さった。