理屈通りにいかない腰痛

足首が硬くて腰に負担がかかり、ヘルニアと坐骨神経痛をおこしている方が通っている。一時期よりはいいが中々完治までいかない。色々な病院で、「腰のヘルニア、痛かったでしょう。神経ブロックでもしたら。」と勧められている。しかし本人は、「神経ブロックは打ったときだけしか効かないから治らない。」という感覚があり受けたがらない。我々からしてみると少し痛みを感じない間に身体は修復がかかるのでお薦めしたいのだが、本人はそう思っていない。そこで例え話をした。「例えば僕の家の周りに泥棒が10人いたする。窓を叩いたり、扉を叩いたり、屋根に乗ったり、こちらは落ち着かない。侵入されるのではないかとずーっと気になる。そんな時に子供に、『ママ、ご飯』と言われたら何と言うだろうか。『今は泥棒を防ぐので精一杯だから、ご飯の支度はしていられないから我慢して。』と言うだろう。それが泥棒がいなくなったとわかれば、ご飯の支度が出来る。身体に痛みがある時は泥棒が沢山いるのと同じである。発熱を抑えたり、ウィルスに対抗したり、血流を上げたりと我々の目には見えないが身体の中でてんてこ舞いである。だから麻酔薬で痛みを感じないように休ませてあげる事で免疫が働きやすくなる。そんな説明をしたら、「成る程ねぇ。」と言っていた。足首が硬くて腰に負担がかかるケースでは、理屈を言えば足首の柔軟性が出なければ腰は治らないということになるが、現実は少し違う。足首と腰がネットワークを持つから痛くなるのである。神経ブロックでそのネットワークを遮断(出来なければ関係を弱める)すれば足首はそのままでも腰は痛くならない。この辺が身体の難しいところで、足首が原因の腰痛でも治し方は1つではない。絶対足首を治さなければならないというだけではない。最近整形外科の学会で、「今まではメスを使いすぎた。これからはメスなし(無刀流)で行こう。」いう流れがある。その代表が筋膜リリース(ファシアリリース)である。私自身、病院のリハビリ上がりなので、長年見てきて手術に関して疑問に思うことは沢山あったが、少しずつではあるがいい流れになってきている。腰痛一つ取っても理屈通りにはいかないものである。