しつこい患者の勧め
遠方から膝の半月板がなくなってしまった方が通っている。
医者からは手術しかないと言われ、色々試して駄目なら手術を受けるつもりでいたと言う。
たまたま検索して当院のブログを見ておみえになり、治療を始めたら思いのほか成績が良い。
仕事をしても殆ど膝が痛まないレベルまでなった。
この方は実に真面目な方でこちらが言ったことをすべて実行している。
歯の噛み合わせも膝に影響すると言えば歯医者に通い、鼻炎も治しておいた方がいいと言えば耳鼻科に通う。
衰えてしまった筋肉のためにプールがいいと言えば、週に3回も筋トレに励む。
実に優秀な患者である。
では他の患者もこうなるかと言えば中々そうはいかない。
経験上、こちらの言ったことを守る方は6割ぐらいではないかと思う。
いつも治療しながらその患者に足らないことを指導しているつもりでいるが、「プールで筋トレして下さい。」と言えば、「時間がなくて・・・。」と言いながらうちには通ってきている。
いつも不思議だなぁと感じている。
良くなる方達は一つの特徴を持っている。
それは皆、しつこい。
何かいい治療法があるのではないかとしつこい。
言われたことをやってみて成果が出なくても、まだ何かあるのではないかと思っている。
そしてそんな事をしていると時間が経ち、医学の進歩とともにチャンスは増える。
だから諦めてしまう患者が一番損をする。
しつこいぐらい執念深く先生にくっついている方が結果的に一番いい。
我々も色々と勧めて、あれもダメこれもダメと言われれば必死に何かを探す。
今日はだめでも明日は何か出てくるかもしれない。
たった1本の論文で治療法がガラッと変わることはこの業界よくある。
時々年配の方で腰痛や膝痛を諦めてしまった方を診るが、もう少し粘れば違う人生だっただろうと思うことがよくある。
医者から、「○○はもうダメ。」と言われても、「先生、そんな事を言わず何とかなる方法を教えて下さい。」と食い下がることをお勧めする。
最終的にその方が我々も勉強になり、お互いが喜ぶことになる。