前後左右上下裏表手足
変なタイトルだが、治療に行き詰まったときに自分に言い聞かせている言葉である。
例えば左脚の太腿の痛みが取れなければ太腿の後ろをいじってみる。
それでもだめなら右足の太腿、駄目なら裏、それでもだめなら脛、そして反対側もいじる。
それでもだめなら人を四つ足動物と考え、足を後ろ足として前足の同じ所。
筋肉は構造的に前後は拮抗筋(きっこうきん)といって、お互い補完し合っている。
曲げる筋肉があるということは曲げっぱなしでは困るから、必ず伸ばす筋肉がある。
屈筋と伸筋である。
この拮抗筋はお互い様子を見ながら作用している。
屈筋ばかり使うと必ず伸筋にも負担がきて、それが周辺にまで影響していく。
パソコンなどで右手の屈筋ばかり使うと右手の伸筋→右肩→右首と段々筋肉疲労が拡がっていく。
よく言えば、周りに助けられている。
それでも止めないと今度は左肩・首、腕までこってくる。
次は背中→腰→脚のバランスまで崩す。
丸で身体の何処かにインクを垂らし、それが拡がっていく様にいつも感じている。
そこまで疲労が重なると、回復期にはパラつきが出来る。
本来右腕から始まった症状だが、なぜか左腰だけ残るとか、左肩だけ残るとかという現象が起こる。
そうなると右腕を完治させるために、十分回復していないところの治療が必要になってくる。
だから右腕の治療を左肩や左腰で出来るわけである。
まるでからくり屋敷の仕掛けのようで、何処をどういじれば何がどうなるかが面白い。
だから左肩の痛みを右腕だけで治療することがよくある。
初めての患者だと、「私は左肩が痛いと言ったのに、この先生、右腕ばかりいじっている。左と右を間違えている・・・。」と言われてしまう。
常連さんには言わないが、ちゃんと解説が必要になってくる。
この仕組み、治療に行き詰まったときには大いに助けられた。
いつも神様は粋なことをなさると感じている。