圧迫骨折と吐き気
知り合いの方が腰を圧迫骨折したという。以前腰の3番を圧迫骨折したが、今回は1番だという。しかし痛みがあるのは3番で少し不思議がっている。我々は圧迫骨折の場所と痛みは確実に連動するとは限らないと思っている。古傷の3番を痛がることはよくある。圧迫骨折というと患者さんは、「骨がつぶれたんだから相当痛い。」と思っているが、骨自体には神経はなく、神経は骨を包んでいる骨膜にしかないから、そこに炎症がない限り痛みは出ない。お年寄りで気がつかないうちに圧迫骨折をしていたというケースが多いのはそういう理由である。この方は圧迫骨折をしてから腰を痛がり、コルセットをしているが痛みが治まらないという。コルセットを見たらほとんど固定できない弱いもので、こういう場合は鉄のプレートが入ったもので強く補強しなければならない。そして痛みが出てから吐き気があるという。近くの医者でレントゲンを撮ってもらった胃も腸もガスだらけで、胃薬を飲むと少し楽だという。こういう場合は腹圧といって、ガスを出してしまえば吐き気は楽になる。下剤でも浣腸でも何でもいいから出せば良い。身体に痛みがあると副交感神経優位の時に動く胃腸は動きを止めてしまう。緊張時にはお腹が空かないのと同じである。まずは腰を固定し、時には痛み止めを使い、胃腸対策をすればすぐに楽になる。こんな話をしたら、「整形でも内科でもそんな話はされなかった。」という。これはリハビリの仕事である。我々の専門分野だ。整形では骨だけ、内科は胃腸を少し元気にするだけ、圧迫骨折と腰の痛みと内臓の関係は中々説明して頂けないのが現状である。この胃腸の問題を解決しないで腰の痛みが長引いている方は多いと思う。まずはお通じから取り組んでみたらどうだろうか。