彼方を立てれば此方が立たず

常連さんが「低蛋白」と「貧血」の治療をしている。「低蛋白」には蛋白質を摂ってもらうため「牛肉の赤身」を指導し、「貧血」には「ミキプルーン」を指導した。実際やってみると、蛋白を摂りすぎると腸内細菌の悪玉が働くために便秘になったり、ガスが臭くなったりすることがある。しかしそこで止めてしまっては何もならないので、便秘の治療を加える。「貧血」の治療は病院から出る鉄剤が評判が悪く、必ずと言っていいぐらい便秘になるので、当院では「ミキプルーン」を勧めている。他のプルーンは原産地や加工法などで便秘になることがあるが、ミキプルーンでは便秘にならない。我々にしてみるとただ足らないものを補えばいいだけなら楽だが、中々身体は白黒はつかない。常にグレーである。蛋白質も補いつつ、鉄も補いつつ、便秘の様子を見つつである。以前もぎっくり腰を指導したときに、「痛い腰を冷やしながら風呂に入れ。」と言ったら、「暖めるのですか、冷やすのですか?」と聞いてくるので、「だから痛い腰は冷やす、他の所は暖める。同時に行う。」と言っても中々理解して戴けない。この何となく風見鶏的に身体の様子を見ながら、調整していくのがコツである。まさに「彼方を立てれば此方が立たず」である。