久しぶりに診た手強い患者

常連さんの紹介で、左肩と肩甲骨が辛いという方が来た。こういう場合は経験上、「右腕のパソコン病」「首のゆがみ-噛み合わせ」「喘息」と大抵、パターンが決まっている。一つずつ診ていったら、「右腕のパソコン病」はあるものの、そんなに左肩に影響を与えていない。「首のゆがみ-噛み合わせ」はあるものの、思ったほどひどくない。「喘息」の反応点があったので、「喘息あるでしょう?」と聞いたら、「全くない。」という。ことごとく、こちらの言うことが当てはまらない。長年仕事をしていてもこういうケースは稀なので、ここまで来るともっと身体の深いところの筋群の異常しかないと思い調べたら、それが正解だった。聞き慣れない言葉だとは思うが、「脊柱起立筋群(棘筋・最長筋・腸肋筋)」といって、背骨に近い所に層をなしている筋群がある。その異常であった。ここまで分かれば治療は楽である。「今まで何箇所も診て頂いて納得のいく治療が受けられなかったでしょう?」と聞いたら、「全くその通りです。首や肩をガンガン揉まれてしまうと翌日痛くて、仕方がありません。色々と原因らしき事は聞きましたが治りませんでした。」と言う。「そうでしようね。あなたの治療は難しいのです。」「え、難しいのですか?」「はい。一般的な治療では全く良くなりません。当院の勉強会の試験問題にしたいぐらいです。」「あ、そうなんですか。」この患者さんからはこちらがパターンで診てしまう危険性と、問題が解決しないときは常に初心に戻る大切さを学んだ。