兎に角絞り出せ

高校の初めての生物の授業の時に先生が、「今から兎に角頭を使う。何が何でも動物の名前を絞り出せ。」と言われ、最低30種類ぐらいは書きだした。
「牛、馬、ライオン、キリン、カバ、アルパカ、羊・・・。」
この辺で行き詰まるが、出せと言われて頭を捻っていると
「テン、サソリ、カブトムシ・・・、ゴキブリ・・・・・・・・蜂、ムカデ・・・。」
と終いには昆虫まで出てくる始末である。
しかしそれでも出せと言われると、終いには「鬼」とか言う生徒がいる。
それでも出せと言われると、「赤鬼・青鬼・・・、桃太郎・・・」と頭の中が完全に混乱しておかしくなってしまう。
それでも出せと言われると、「大きい鳥・小さい鳥・・・」と真面目な顔をして言い出す。
今から思うと楽しい思い出だが、その先生はいつも少し手が届かない課題をくれた。
その生物の先生に大学の英文の火山学の資料を訳せと言われ、何とか頑張ったが、先生から「お前の訳文は何が言いたいのか分からん。理解しないでただ訳しているからそうなる。ちゃんと理解してから訳せ。」と言われ、当時はショックだったが、今から思うとその経験が物事の本質を絞るほど頭を使って見抜こうとする元になっているように思う。
最近は中学生や高校生の患者を診ながら昔を思い出す。