身体の通訳者

長年仕事をしていると筋肉君の声がよく聞こえてくる。最近頚の辛さで通っている方は、相当色々な治療をしたがうまくいかずに紹介で来た。身体は細身で今まで色々な事をやってダメなのだから、頚のみを治療しても効果はないことは分かっていたので、「前腕のこり」「噛み合わせ」「胸骨のゆがみ」の問題だろうと当たりをつけた。早速腕から治療してみると、相当のストレスがかかっている。仕事なのだろうが数年にわたり、なんとも耐えている様子が手に取るようにわかった。「あなたは頼まれたことをちゃんとやらないと気が済まないでしょう?」と言うと、「そうなんです。歯を食いしばってでもやってしまうのです。」と言う。これではストレスの反応が腕に出るのは仕方がない。次に噛み合わせであるが、噛み合わせ異常で頚に反応が出るのだが、そのポイントを異常に痛がる。普段から食いしばっていることは明白だったので聞いたら、「いつのまにか我慢していると何時も歯を食いしばっています。寝ているときだけではありません。」と言う。次に胸骨のゆがみだが、ここまで来れば胸骨がやられていないわけがないので、調べたら案の定痛がる。「長年歯を食いしばったり、ストレスがかかりっぱなしで腕がやられたり、その影響が胸骨まで出ているのに、頚のみに鍼をしてごまかすとは何事か。いくら頚に鍼をしてもそこは原因ではないから、毎回治療の後100%痛みを戻しているのにまだわからないか。ちゃんと原因の所を治療してくれればわしは痛みは出さないのに、全くご主人様は気がついていない。しょうがないなぁ。最近ようやくいくつかの原因をいじってくれるので、多少頚の痛みを出さないようにしているが大分時間がかかった。少し遅かったなぁ。」頚に口があればこんな事を言っているだろう。