噛み合わせについて

噛み合わせについては以前から書いているが、最近噛み合わせ専門の先生の指導を頂き、今まで以上に噛み合わせについて学ぶ機会を得たので少し話をしたい。
たまたま所属するいくつかの学会の中に歯科の先生がいるので、歯科医の友達は多い。
色々と話を聞く中で、「顎位 がくい」「咬合 こうごう」「補綴 ほてつ」などの言葉も段々覚えて、自分が抱えている患者の相談にはよくのってもらう。
15年程前からすこし難しい患者が増え、肩こり一つ取っても我々が単純に鍼や矯正をしても治せない状況が続いた。
そういう患者を歯医者に送り、マウスピースを作ってもらうと劇的に良くなる場合がある。
今まで我々がやっていた治療が何だったのかと思ってしまう。
少し歯をいじられただけで頚でも肩でも簡単に変化してしまうことは以前から感じていたが、マウスピースの威力には感服してしまった。
それだけ普段は気がつかないが、人は歯を噛みしめているのである。
当然噛みしめなければ踏ん張れないわけだが、実は「どの歯で噛みしめているか。」が問題である。
上と下の歯を全部を使ってバランス良く噛みしめていれば何の問題もないが、多くの方は奥歯だけで噛みしめ、酷い方は噛む力が強すぎて歯を割ってしまうという。
その状態が続けば「首のゆがみ」「頭への血行不良」「眩暈や難聴、耳鳴りなど耳の症状」終いには「鬱病」まで発症してしまう。
当院では最近、鬱病患者には「まず歯を治しなさい。」と指導して、大体3割ぐらいの方は歯科だけの治療で改善している。
5-6ヶ月して久しぶりに来た鬱病患者に「あなた鬱病、どうしたの?」と聞くと、「マウスピースで大分楽になりました。今はもう大丈夫です。」と言われ、益々噛み合わせや顎関節治療の重要性を感じている。噛み合わせを改善しなければ、頭への血行不良などは解決しないので薬物だけで本当に治るのか何時も疑問を感じている。
では何故奥歯で噛むかであるが、これは教えて戴いた事だが、どうも高齢の方の場合は軍隊と関係があるようだ。
軍隊に入隊するとまず、びんたを食らう。
上官から、「歯を食いしばれ。」と言われ、何かに耐えたり、その場で抵抗して我慢するのに、どうも奥歯を食いしばることが日本人に染みついてしまったようだ。よくスポーツ根性ドラマでも、「もっと歯を食いしばって頑張れ。」とやっているが、あの場面でも前歯を食いしばるというイメージはない。歯科医の中には、「本来は全部の歯で均等に噛むべきです。」と言う先生もいる。私自身も自分の身体を使って、噛み合わせの実験を始めた。
かなり奥歯で噛む癖があるので、すこし前歯でも噛むようにしている。
結果が出るまでに数ヶ月はかかるだろうが、又折りをみてどうなったか報告したいと思っている。

尚、「食いしばり」に関してとても良く歯科の先生がまとめて下さっています。
是非、御参考にどうぞ。

あわさ歯科医院(掲載許可確認済み)
http://www.awasa-shika.com/clenching/index.html