見せかけの健康

常連さんの全身状態を測ったら最近の中で1番いい。今まで胃の治療や乳酸菌、温灸などを指導してきたが、本人は何処も異常が出ないので、「温灸をやめてもいいか?」と聞いてきた。我々からするとこの良い状態というのは、「見せかけの健康」であって、身体が芯から治ったわけではない。今までは色々な問題点に対応しつつ、たまたま良かっただけである。土台がしっかりしているわけではない。だから温灸1つ取っても少し減らすのはかまわないが、止めれば又色々と問題が起こることが容易に想像される。例えればかけっこの遅い人が、たまたまコーチから教わって早くなった。そのまま教わり続ければ早くなるだろうが、コーチから離れてしまえばまた元に戻る。素が出たり、自分の癖が出る。しっかりと身につくことと、たまたま良い状態というのは全く違う。全身状態を調べるときに、Bi-Digital O-Ring Testを使うがとても繊細な検査法である。ほんの少しの異常も見つけるが、少し良くなっただけでも反応してしまう。長患いの方は少し良くなって一喜一憂するが、しっかりとした土台を作るまでは我々は気を緩められない。経験上、がんを手術して取ってしまうと殆ど来ない。そう言うときは全ての治療を中止してしまう。その後2-3年してから来たときには再発例がよくある。解放されたい気持ちは分かるが、病気のリスクから解き放されたわけではない。「見せかけの健康」を意識していただければ、治療成績はもっと良くなる。